生涯に二人に一人がなるもの。それは一体なんでしょう。
その答えは「がん」です。
こういう類の話は聞きたくないという方もいるかと思います。
そもそも話の内容が重いし、死を連想させるものでもあるからです。
けれども現実として、人は100%の確率で必ず死にます。それがいつになるかは誰にもわかりません。
がんと診断されることは、例えるなら急な土砂崩れに巻き込まれ一瞬何が起きたのかもよくわからず、呼吸も乱れ先は暗く、体に重くまとわりつくこの泥からどうやって外に出ようか、数年前診断された私はこのような心境でした。
がんになることは辛いし、急に死が目の前に来たような感覚になり怖い・・・
だからこそ自分の人生を死から逆算して、今後の人生をどんなものにしていきたいかを真剣に向き合い考えさせられるきっかけにもなります。
そこで、より人生を快適にしていくためにヨガが有効であり、今回はその理由を3つに絞ってお伝えします。
最近はマインドフルネスが世の中に浸透してきたと感じる場面が増えました。
それが普及するきっかけとなったのは、マサチューセッツ大学医学校名誉教授のジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn)博士が、「マインドフルネス瞑想」を医療分野に最初に取り入れ、慢性の痛みとの共存を目的としたプログラム「マインドフルネスストレス低減法」を開発したことです。
アップルやグーグル、スターバックスなどの大企業が社員研修の一環としてマインドフルネス瞑想を導入したことでも知名度が高まりました。
今や脳科学の進歩によってマインドフルネスが脳の機能と構造に変化を与えることが明らかになり、臨床治療としての有効性が、多くの研究により示されるようになってきました。
私たちは何らかの理由でストレスを受けると、脳内では不安や恐怖などに関わる扁桃体が活性化し、ストレスホルモン(コルチゾール)が分泌されます。それが長期間続くと記憶や感情と関わる海馬が委縮しストレスに対する耐性が弱くなります。
うつ病やPTSDの方も海馬の委縮が見られていることがわかっています。そして何よりもストレスは自律神経を乱し免疫力をも低下させてしまいます。
しかし、マインドフルネスを取り入れることでその状態を軽減させる効果があることがわかりました。
2013年の209の研究、延べ被験者数1万2000人以上のデータを対象にメタ分析がなされ、マインドフルネスは心理的な問題、特に不安、うつ、ストレスの減少に効果があるという研究報告がされています(※1)。
また、ハーバード大学で行われた研究では、マインドフルネスの実践により記憶を司る海馬の灰白質の密度が高まり、恐れや不安を抱く扁桃体の密度が減少した、という結果もあります(※2)。
実は、日常生活の47%を目の前のこと以外、つまり未来や過去に費やし、そして悩みの99%は過去と未来にあると言われています。
マインドフルネスは、今ここ「Be Here Now」に集中し気づきを向け、評価をせず、囚われのない状態で、ただ観察する心のトレーニングです。そこに取り組んでいく事で、過去や未来などの思考に振り回されにくい状態の脳の変化をもたらすことができます。
より快適な人生を過ごしていく為にも、瞑想やヨガのポーズを取り組みながら体の内側から常に、今この瞬間の心身の状態を観察するマインドフルムーブメントを取り入れることが豊かな生活の近道となります。
体内でウィルスなどと戦って守ってくれる細胞が免疫細胞です。
それは血液やリンパ液に乗って身体中をパトロールし、外から入ってくる外敵(抗原)に対してやっつけて防衛してくれる戦士のような役割があります。
免疫細胞は血液成分の一つである白血球がメインとなり、その白血球の活動は自律神経に支配されています。過剰に働きすぎてもアレルギー反応が出ますし、働かなさすぎても病気にかかりやすくなります。
このバランスを保つためにもヨガで呼吸を深めながら動いていく事で自律神経のバランスも取れていきます。
また、リンパ液は筋肉の伸縮によるポンプ作用で身体の中心に向かって押し出されていき、そこからさらに背骨のすぐ傍を平行に走っている胸管という太いリンパ管に来たリンパ液は、呼吸のメイン筋である横隔膜が呼吸するたび上下に動くことでブラッシングされ流れていく事で活性化させます。
さらには、体温を上げることも免疫力を高めるのに大事になり、その為には筋肉量を増やすこと、特に深層筋を働かせていくことで内側から身体を温めて血液の流れを促進し免疫力の向上につなげていきます。
どんなに健康な人でもがん細胞は毎日約5000個できています。そのたび免疫システムが働き、がん細胞をやっつけてくれていますが、免疫力が低下しがん細胞がうまくかいくぐってくるとだんだんと増殖し、やがてはがんとなります。
健康を保つためには免疫システムを正常化させておきましょう。
それには適度に身体を動かす事が大切になっていきます。
私たちは日々、体を支えている骨を動かし筋肉と協力して歩いたり立ったりしています。
その骨は女性ホルモンと深く関係するため、骨粗しょう症は女性の方がなりやすい傾向にあります。30歳以降から徐々に骨密度が低下していくため発症しやすくなり、男性も60歳以降から発症する人が増加します。
がん治療による化学療法の副作用でも骨密度の低下を招くので、それを減速させていくためにも骨に適度な負荷をかけていく事が必要になるため、そこでヨガは適していると考えられます。ヨガで自分の体重をかけながらポーズを取り、バランス感覚を養うことでも転倒での骨折を未然に防いでいき、いつまでも歩ける身体づくりをしていきましょう。
生きているといつ何が起こるかわからないし、当たり前だと思っているものが当たり前ではなくなることもあります。今回新型ウィルスで新しい生活様式を強いられたのと同じように、がんになることはまさしくそのようなことでした。
ニューノーマルな生活を快適に過ごしていくためにも、ウェルネス(疾病・障害の有無にかかわらず、明るく前向きに生きようとする心⦅ウエルネス・マインド⦆を育てること)が大切になり、それはヨガで目指していくことが可能になります。
ヨガは自分と向き合い、肉体も精神も整えていくもの。
ぜひ、ヨガを日常の習慣に!